Fate/stay night Serial SS 
「幸せであるように」 -Over the Rainbow-

Appendix . あとがき、ロングバージョン 3/25
3/31　追記あり
　
どうでしたでしょうか。Fate/stay night SS長編「幸せであるように」。なんとか完結することができました。楽しんでいただけたでしょうか。そうであれば幸いです。つまらなかった。と思った方にはすいません、力量が足りてなくて。
　こちらはロング・バージョンの後書きとなっております。いいですか、本当に長いですよ。気をつけてください。

　「檸檬月夜にもう一度」を書いたあと、おまけ的に与太な予告編を書き飛ばしたのが元々の発端でしたが、予想外というか、続きを望んでくださる方がMailを送ってくださり、TYPE-MOON SSlinkの推薦コメントに書かれてしまうとお調子者の自分としてはついつい書きたくなってしまったのが運の尽き。
　イメージを書き起こして、プロットを書いて、全十話で行ける。と確信して第一話を書いたときにはこんな長くなるなんて自分でも思いませんでした。話数的には十話ですが、文字量としては結構な量に膨れ上がってしまいました。キャラが暴走してノリノリになったのもあれば、説明を入れるためもあり、ここらへんは自分の能力不足を自覚してしまいました……。
　それでも推薦コメントを書いてくださった方、こちらの再三のボケたミスを指摘していただき、あまつさえ、激励してくださった方（Mailと掲示板両方で）、そして読んでくだった方、すべてに感謝です。皆様のおかげで物語は無事終了までたどり着くことができました。自分の旅路というか悪戦苦闘もひとまず区切りを迎えられました。

　Fateルートのセイバー／アルトリアは確かに救われているし物語としては完結していますから、続きを書くとなるとどうしても蛇足的なものになってしまうとは心のどこかで思ってました。が、まぁ、セイバーをもう一度士郎達に引き合わせたいがため、その一念で「檸檬……」を書いたのですが、まぁ、某所で書かれてしまいましたが、自分でも無茶苦茶なノリだったと思います――おかしいな、あれ、もうちょっと理屈をヒネってたんですけど――話の筋上、バッサリと切ってしまったらどういう理屈か忘れてしまったというオチで。
　
　桜ルートで桜が救われるまで、セイバー、凛、どちらのルートでも桜があまり重要に扱われてないわ、そのせいで、セイバーに肩入れすると、桜ルートでは身を切り刻まれる思いで話を読むはめになるというこの仕打ち。狙ってやってるだろうと、TYPE-MOONスタッフには言いたくなったので、であればこちらも真正面きって、セイバールートで桜を救おうっていう、まるで風車に突撃をかますラ・マンチャの騎士のような気持ちで取り組みましたが、これが大誤算。
　おいおいリプレイして確かめると、心のどこかにあった「まぁラストは、キャスターのルールブレイカーで……」という安直な発想は、セイバールートendで行くとキャスター、ルールブレイカー出す前にギル様に殺されてるやん！　という事実で覆され、おまけに投影魔術しか出来ない主人公に頭を抱えるはめに。そうか、凛ルートでないと、UnLimited Blade Worksも体得できないのか！　しかし凛ルートで話を進めようとするとイリヤが居ない！（書く前から気がつけばいいのにね）
　苦肉の策というか、無茶苦茶な打開策は６話を見ていただくとして、なんとか決着をつけるべく無茶苦茶さを全力発揮して書いたのが残りの４話というわけです。
　ええ、まぁ、物語中盤の重々しい救いもなにもない展開はある程度計算の上でもあったんですが、これまた某所で「それほどでもない」とか「正直凹む」とか書いてあるのをみてちょっと複雑だったりしたのもいい思い出です。いやほんとうに。

　個人的なルールのせいで、セイバー／アルトリアの切り替えはちょっと混乱させてしまったと思います。自分もしくじったと思います……反省。アルトリアで通したいところですが、一般的にはセイバーなんですよね。でも、登場人物達の彼女に対する親密さを推し量るには名前で表現するのがいいと思ったもので。
　あと、原作のほうではセイバーは凛のことを「凛」と呼びますが、私の作品では「リン」とカタカナ表記にしています。「シロウ」とのバランスを優先にしているのでご了承を。
　まだあるのですが、作中、伏線じみたやり口で「代行者」ネタを散りばめたましたが、これもネタ程度なのは当初からの折込ずみでした。期待された方がいたらすいません。クロス･オーバーは正直今の自分には手に余るし、自分が書くよりも他の方がすでに面白いSSを書かれてらっしゃるので恐ろしくて手がつけられなかったというところもあります。

　あと、円卓の騎士、マーリンに関してはちょっと表現が薄かったかな、と思いますが冗長に書くのもあれだし。と思って泣く泣く端折りました。期待もたせたわりにマーリンがあまり活躍してないのは、イリヤ以外に物語上の「ジョーカー」を出すと、話が混乱するので、バッサリと途中で書き直したせいです。マーリンがどうして出たのかも蛇足ですので、これまたバッサリと。ああ、これが無茶苦茶と言われてしまう理由ですね。
あまりオリジナルキャラを出すとバランスの兼ね合い（この作品でも取れているかというと凄い疑問ではありますが）があるので、ここらへんが自分なりの折衷案でした。

　セイバー／アルトリア、そして凛の成長に関しては、ある程度書けたかなと思いますが……ご満足していただけたかはちょっと不安ではあります。途中から推薦コメントに「漢度満点」とか「漢気」とか書かれると、いやぁ、俺ってやっぱり萌えじゃなくて燃え気質なんだ――とちょっと自己認識したりもしたんですが。

追記(3/31)
　で、以前予告していた通りこの作品は3/25日付けでアップした作品の[完全版]として、ある程度目についた誤字脱字、構成をちょっとイジってます。あと、ちょっとだけ戦闘シーンをリライトしていたりしています。そんなに大規模というわけではありませんが。
　これ以上の変更は誤字脱字の訂正以外はありません。
　それからちょっと、下にあるAppendix Epilogueには次のシリーズのネタフリなんてしちゃってるんですが(w　これはやるかやらないか微妙なところです。意外にエピローグの続きを求める方がいらっしゃるので、ちょっと保険として、ですが。
　さて、某所で書き込みがありましたが、「セイバー・ルートでもルール・ブレイカー出てないか？」というツッコミなんですが、出てますよね。でも、それがルール・ブレイカーかそうであるかの明示はされていません。士郎が代わりに受けちゃってますから。――というわけで、上のように「ルール・ブレイカーが出ていない！」ということになったわけです。いやぁ、知ったときは冷や汗かきました。色々と思案したあげく、あのような解決策を思いついたので（それにしたってご都合主義の謗りは甘んじてうける類のものですが）。
　ついでにいうと作中、士郎が英霊エミヤの過去（士郎としての未来）を覗き見してしまったときは基本的に桜ルートのバッドエンド……準拠ではありますが……を想定してますので、御了承ください。

さて、長い長い後書きを読んでいただき尽きせぬ感謝を。

よろしければご感想、ご叱咤、ご指摘などございましたら、Mail、もしくはBBSに書いていただけるとお調子者はまた何か続きを書く気が起きるかと思いますので（苦笑）。なにとぞよしなに。

――そうそう！
ここまで読んでいただいた方にはちょっとしたサービスなんてことで、Appendix Epilogueとして、こんなもの→■を用意してみたりして。

追伸
　個人的にこの3/25という日は色々と忘れられない日になってしまいました。

　この作品は色々な意味で自分に問いかけてくる作品になってしまったようです。

　不幸は確実にあるかもしれませんが、不幸が不幸であるとわかるのは幸せがあるからであり、そこには日常があるからこそ、だとも言えるのではないかと思います。

　時に日常（人生）は、悲しみと喜びが交差します。であるからこそ、日常を大切に生きていてほしいと願います。自分にも、自分の周囲の人々にも。大切な日々は決して取り戻せないのですから。そして、そのように、日々を大切に生きていけることこそが幸せな日々であるのだと思います。

　――皆様が幸せであるように祈ってます。

著者