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「中東戦争全史」(山崎 雅弘/学研M文庫)bk1

第二次大戦がもたらしたものの最悪の一つがパレスチナ問題ではないかと思います。

 というわけで、まことにタイムリーな時期なお手ごろ価格で中東問題(パレスチナ問題、中東戦争に焦点が絞られているが)についての本がでました。

 ユダヤ人が流浪の民となった理由にも触れられていますが、中心は第二次大戦直前直後、イスラエル建国から始まった中東の幾度かの戦争の様子をわかりやすく説明しているいい本です。
 パレスチナ問題最大の責任はイギリスで、二枚舌ならぬ三枚舌外交したわりに責任を国連に放り投げたこと(国家の利益はすでにあの地には無かったが、だからといって、責任放棄は最悪だった)。次にユダヤ人の無分別な行為(主にテロ。英国の植民地相をテロで暗殺しなければ、もう少し英国はあの地に関与しつづけただろうし)で、はっきりいってイスラエル建国前後しばらくユダヤ人も金にあかせて土地を買収するわ、テロでムチャクチャなことをやっている。正直第二次までの中東戦争ならアラブ側に同情してしまいそうになるようなカンジです。無論一方には、精強をもってなるイスラエル軍の強さの理由も知るいい話ではあるのですが。

 しかしこと中東問題に関しては、社会的インフラとか国民の民度とかそういうもろもろのレベルというか国家としての成熟度が足りない場所に戦略的要素(この場合、原油であり、地政学的要衝)が発生するとロクなことにならないですね。そこにユダヤ人が絡んだものだから、よけい話がややこしくなっているのが実情ではないかと思います。

 パレスチナ問題から2001年11月現在今も続くイスラム圏の問題の一端(ほんのすこしにしかすぎません)を知る良き本です。お勧めします。