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なんというか、苦労した甲斐があったというか、心配していた分美味く料理してくれた。ということでは、最近にない良質さです。萌え要素の種火を点しながら、力技ではなくて、ちゃんと折り合いつけて話を着地させたような気がします。
作者のあとがきにも書かれている通り、読者も、作者もそれぞれが持っていた、「フルメタル･パニック！」にある違和感との折り合いがうまくついたような結末を迎えて、これからが楽しみな作品になりました。いままでの話と違う、ターニング・ポイントになるような感じというべきかな。
とりあえず、楽しみな作品になりつつあったのが、「なった」という点でこれから期待しようかな、そう思えるほどのいい出来の話でした。
日本橋ヨヲコさんの作品はどれもが直球勝負だ。本人のマジぶりが、（傲慢な言い方で失礼ですが）痛いほどわかるだけに、読み手も真剣に向き合う必要があるんじゃないかと思う。すくなくとも、自分は向き合いたい。そうすることで読み手である自分へのキックみたいなものになるのだと思う。
短編集を読むと、「プラスチック解体高校」が気に入りはじめた途端に終了し、日本橋ヨヲコという名前が頭に残っていたころ（不覚にも、それまでは全然注目してなかった）、ヤンマガの別冊に掲載された「ストライク シンデレラ アウト」を読んで、完全にヤられたときのことを思い出した。
そこにはあるのは、世界の辛さをわかっていながらも他人に向けて笑えることの出来る強い人の物語があったのだ。読みきったあとは、ニヤリと笑える。なんとまぁ、切れ味するどく傷に迫るんだろう。そして、どうしてこれだけ真っ正直にハッピーな話を描けるのだろう？ そう思えば思うほど、作者に完全にヤられたを自覚したものだった。
自分の入れ替わりのはげしい漫画の本棚に、また一つ、確実にその場所を確保する作品が手元に増えた。困るような、嬉しいような。いや、嬉しいし、もっと増えてほしいんだよな。きっと。本棚はいつでも買い足せるんだしさ（笑）。
なんつーか、読めば読むほど転がりたくなるような作品ですが、愛ですよ、愛！ それ以外に何が言えるってんだ、コン畜生！ってなところです。
犬上さんの作品はどれもが視線が暖かい。ちょっとしたダークさがそこはかとなく漂うのだけれど（笑）、それすらも味わいがいい。
「ハイスクール ガール バイバイ」が一番好きですね。レズっ気のある有元さんの、高校時代の、そして、一度っきりの男の子の相手の話。辛くて、悲しいけれど、笑って次に向かうことを決意できるちょっとした話。ちょうど１巻に収録された物語の裏面のようなお話で。
これ読むと、本当に恋愛っていいよな。っと言いたくなるのは、何のせいだろう（苦笑）。