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いろんなものを欠いている人達が、その欠けた要素を見つめ、埋め合わせる物語です。
表題作が特に顕著かな。夏美も雪彦も知花も何かを欠落している。正直、この話が第１話だけなら、「あー、良くできた作品だね」で終わっていたかもしれないけれど、３話続けることで、知花を中心にうまく、欠落した何かを埋め合わせるため、何が必要かを悟っていく話を描いているように見えて面白かったです。
結局、王子様は王子様でなくても生きていかねばならぬし、夢に閉じこもっていたお姫様も目が醒めたからには、起き上がらねばならない。そう思いました。あ、直球で深読みもしてませんか？（苦笑）。いや、いいんです、気に入ったことは事実だから^^;
この話も含めて、作者は言いたいことから物語を作るタイプだろうと思うなぁ。
それが悪いというわけでもなくて、作者の言いたいことにシンパシーというか、納得できる（させられる）のであれば面白いと思うけどどうだろう。自分は納得できるからＯＫでした。というところです。
周囲の人々に無意識のうちに思考を伝わらせてしまう「サトラレ」。その能力の高さを惜しんだ国は、彼らを影ながら護るよう法律を整備していた――。
というわけで、映画も出来上がりつつあるサトラレですが、私、実はかなり後のほうでこの作品を知って、ようやくコミックで読むことが出来ました。しかし、いい話が多いのでもっと先に呼んでおけばよかった^^;。
まず、設定の上手さと、その設定の生かし具合が絶妙で、なおかつ、人間に対する視点がすばらしい。4話の「サトラレに向かない職業」は、それらの要素が高純度で絡み合っている話で映画化になったのもおかしくないですね。
安易にコメディタッチにも振らない、シリアスにも振らない、かといって中途半端でもない。真正面から、設定を料理しようとおもっているからこそ、高レベルの作品が出来上がっているのだと思います。
この作品のみならず、モーニング−アフタヌーン系列の新人漫画家のレベルはやっぱり高いですね。