いろいろと。
ようやく札幌に戻ってきました。夏コミ前であまり収穫はないわ、台風直撃の中、護衛艦「やまと」が展示されているお台場の･･･って、これは「征途」を読んでて、なおかつ2chの某スレにいないとわからないネタだったな･･･ともかく、お台場にいたりと色々こまごまとしたイベントは満載でしたけど。
色々と書評を書きたいものもあるのですが、ともかく、これだけは。というものを書いておこうかと。
「イリヤの空 ＵＦＯの夏」その４ 秋山瑞人／電撃文庫 [Amazon]
この人のラストはなんていうかビターテイストだなぁと思いつつ、キャッチーなイメージがエンディングシーンに重なるのもこの人らしい。
何か、すべてのものは必ず終わるのだというのを実感させる手腕は流石。
ボーイ・ミーツ・ガールものには特有の終りがそこにはあって、少年の終り、夏の終りを最後のシーンに集約している。イリヤの謎とか、デューン・ドライブの謎とか、まぁ、語られないその他もろもろの謎はそのままだけどね。
榎本のキャラ立てに好き嫌いが生じるかもしれませんが、水前寺が意外にトリックスターになれなかったので、彼が代行するのも致し方ないのかもしれません。
で、電撃も意外にこういう↓のやつを出すからなぁ。どうしよ？
http://www.mediaworks.co.jp/users_s/d_hp/webshop/bookret.html
「バッカーノ！ The Rolling bootlegs」[Amazon]
「バッカーノ！ 1931鈍行編」[Amazon] 成田 良悟/電撃文庫
電撃大賞を受賞した作品だったのだけど、今の今まで読まなくて東京にいる間読むことに。いやぁ、面白い！ 多分に映画的。多分にお馬鹿。
禁酒法時代のＮＹを舞台に、イタリア系裏組織カモッラ、泥棒カップル、錬金術師の野望、運の悪いチンピラ。それらが「不死の酒」を巡る奇妙な物語に巻き込まれる。まったく関係ない複数の物語はある1点で交錯する、長い長いプロローグ（多分、話の半分ほどはプロローグに持ってかれていると思ってもいい）のあとの急速展開は見もの。
でもまぁ、キャラは多いわ、誤字脱字は多いわ、キャラ間違ってんじゃないか？っていう気もしないでもない受賞作「バッカーノ！」だけど、勢いがあるから読ませてくれるのだと思う。妙な構成力なので、まぁ、パルプ・フィクションとかユージュアル・サスペクツとか好きな人で読んでない人はお勧めかも。悪漢小説的系なノリなので。
で、どうしてお勧めかというと、「1931鈍行編」のあまりの未完成ではあるけど傑作の予感のため。
来月「急行編」が出るのだけど、これまたイカれたキャラ達が閉塞された列車空間で”怪物”レイルトレーサーを軸にして派手な殺し合いを演じることになる羽目に。「バッカーノ」（無印）のキャラも出てきて、話をややこしくさせる一方にするのも相変わらずなんだけど、ラストシーンでの肩透かしは中々お目にかかれない。すべての謎解きは、同時系列の「急行編」だから、まぁ期待しておきます。